パタヤは、女の子たちで溢れる街だ。
行ったことがある人ならその雰囲気を理解できるだろう。
だからこそ、Nちゃんが不安に感じるのも無理はない。
だが、今回ばかりは彼女の不機嫌さに困惑していた。
「仕事してる間、俺はパタヤにいる友達に会ってくるね!」
昼の12時にそう伝えた瞬間、彼女の態度が一変。
会話は途絶え、冷たい沈黙が流れ始めた。
Nちゃんの怒りで相手をコントロールしようとする性格がどうしても合わない。
この種の行動は精神的DVと捉えられることもあるという。正直、気が滅入ることもある。
Nちゃんは、自分が仕事中のとき、俺が家でじっと待っていることを望んでいるようだった。
出勤時間が近づき、彼女は化粧を始めたが、何を話しかけても返事がない。
俺は一方的に話すしかなかった。
「俺が外に出るのはダメなの?お腹が空いても、外にご飯を買いに行くこともできないの?」
そう問いかけると、Nちゃんは無言でバイクの鍵と合鍵を置き、仕事に向かっていった。
その後、LINEで長文のメッセージが届いた。
「私はあなたをコントロールすることはできません。up to you。」
要約すると、こんな内容だった。
“up to you”は、日本語で「あなた次第」という意味だが、タイ人女性が使う場合は「勝手にしろ」といったニュアンスが強かった。
つまり、「行かないで」ということだったのだ。
さすがに温厚な俺でも、自分の自由が制限されるのは我慢できない。
Nちゃんが出かけた後、すぐに友達のところへ遊びに行った。
もちろん、彼女には「遊びに行く」と連絡を入れた。
友人とピザ屋へ。いつも美味しいお店を紹介してくれてありがたい。
場所はここ。
パタヤは本当に何でも揃っている、最高の街だ。
その後、バーに移動しておしゃべりし、屋台でご飯を食べて解散。
アルコールは飲まなかったが、気づけば時刻は朝5時になっていた。
この時間までぶらぶらしていたのには理由があった。
Nちゃんのお迎えに行くためだ。
彼女は「迎えに来るなら待たせるな、私は待ちたくない」と言っていたので、ウォーキングストリートの近くで待っていたのだ。
頑張って働く彼女のために、せめて迎えに行ってあげようと思った。
しかし、連絡はなかった。
帰宅すると、Nちゃんはすでに帰って来ており、寝室の鍵が閉められていた。
先に帰っていたのか..待っている意味はなかったな。
俺はベッドで寝たかったので、ノックして彼女を起こすことにした。
すると、ドアの向こうから超不機嫌なNちゃんが現れた。
これほど怒っている彼女を見るのは初めてだった。
酔っぱらうと怒りやすくなるのは知っていたが、今回は特に酷い。
彼女はすでにパジャマに着替え、ベッドで寝ていたらしい。
俺も隣で横になり、「お疲れ様」と声をかけ、反応を伺ったら蹴っ飛ばされた。
続く。